小児の予防処置
1.フッ素

フッ素の働き
人の歯の表面は、エナメル質でおおわれています。
エナメル質は人体の中でもっともかたいところですが、
むし歯になると溶けてしまいます。
フッ素はこのエナメル質(ハイドロキシアパタイト)に取り込まれるとフルオロアパタイトというむし歯に強い(溶けにくい)物質に変えることができます。
また成熟していない形成期の歯に対しては、
より結晶性の高いハイドロキシアパタイトを生成してむし歯に強い歯を作ります。
また自然治癒が可能な初期のむし歯の場合、
フッ素を塗ることで治癒を助けることができます。
フッ素の安全性
フッ素は特別な物質ではなく自然界のあらゆるもの
(空気、雨、土壌、水道水、動植物組織など)に含まれています。
ですから私たちが毎日食べているものの中にもフッ素は含まれており、
必ずいくらかのフッ素を摂取していることになります。
フッ素を塗ったからといってむし歯にならないというわけではありません。
フッ素はむし歯予防の特効薬というわけではなく、予防手段の一つにすぎません。
むし歯予防の基本は食生活、生活習慣に気をつけることです。
当院では主にフッ素イオン導入法を行っています。
これは、イオン導入器を用いて、フッ化ナトリウム溶液をフッ素イオンとナトリウムイオンに電気分解し、より歯質に取り込みやすくする方法です。
ジェルをかなりの期間塗り続けるのと同等の効果が、「イオン導入」とい方法では3分程度で得ることができるとされています。
フッ素イオン導入の特長

- 痛みがまったくない
- 短時間ですむ
- 口の中に入れるトレーは滅菌されており、
使い捨てのため、衛生的である - お子さまでも不快感がなく、嫌がらない
フッ素洗口やフッ素入りの歯みがき粉の使用は、
ブクブクうがいができるようになる4歳頃が良いでしょう。
また、フッ素の使用を特におすすめしたいのは、
乳歯から永久歯に生えかわる時期の小学生・中学生のお子さんです。
生えたての歯は未熟でやわらかく、 虫歯になりやすいです。
反面、フッ素の取り込みが高いので、効果的に歯質強化が得られます。
よってこの時期にフッ素を積極的に使うことで歯を強くし、虫歯になりにくい歯にします。

当院では、フッ素を配合した家庭用の歯磨き粉やジェルの販売も行っております。
2.シーラント
6歳頃になると乳歯の奥歯の後ろに永久歯が生えてきます。
これは6歳臼歯と呼ばれ、
乳歯と比べて一回り大きく、溝が複雑であるのが特徴です。
生えてきたばかりの6歳臼歯は、表面が弱く、
歯みがきをきちんとしているつもりでも、
溝に残った食べかすが原因ですぐに虫歯になってしまいます。
一生使う歯なので、この時期は特に注意が必要です。
当院では、幼若な6歳臼歯を虫歯から守るために、
虫歯になりやすい溝の部分をあらかじめ埋めてしまう、
“フィッシャーシーラント”を、予防処置として行っています。
材質は、レジンという合成樹脂です。
また、フッソを配合しているので、埋めた溝の周囲の歯質の強化にも役立ちます。
ただし、毎日の歯みがきで、汚れをきちんと落とさなければいけないのはいうまでもありませんが…。

